東和マッサージ三茶 鍼治療室三軒茶屋 の日記
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卵巣腫瘍
2013.01.26
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~種類~
●卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)(良性卵巣腫瘍(りょうせいらんそうしゅよう))
卵巣のなかに、液体成分がたまってはれている状態の嚢胞性腫瘍です。婦人科臓器に発生する腫瘍のなかで、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)と並んで最も発生頻度が高い腫瘍のひとつです。
ほとんどが良性です。しかし、卵巣はおなかのなか(腹腔内)の臓器であるため、正確には手術で摘出して病理検査(顕微鏡で腫瘍を構成する細胞の顔つきから良性か悪性かを判断する検査)をしてみないと、絶対に良性であるとは断言できません。
卵巣嚢腫(良性卵巣腫瘍)にはいくつかの種類があり、以下、代表的なものについて概説します。
●漿液性嚢胞腺腫(しょうえきせいのうほうせんしゅ)
嚢胞内部に黄色い透明な液体がたまる腫瘍で、卵巣嚢腫の約25%を占めます。球形の手のこぶし大ほどの大きさで、縮小しないことが特徴です。
●粘液性(ねんえきせい)嚢胞腺腫
嚢胞内部にネバネバした粘液がたまる腫瘍で、卵巣嚢腫の約20%を占めます。
この腫瘍の特徴は、しばしば巨大化し、おなかのなかで嚢胞が破れ、内部の粘液がおなか全体に広がることです。この病態を腹膜偽粘液腫(ふくまくぎねんえきしゅ)と呼びます。腫瘍の一つひとつの細胞は良性ですが、破れることで腹膜炎を起こし、死亡することも少なくありません。
●成熟嚢胞性奇形腫(せいじゅくのうほうせいきけいしゅ)
嚢胞内部に皮脂、毛髪、歯、軟骨などを含んだ腫瘍で、大きさは通常、直径10cm以下で、卵巣の両側に発生することもあります。良性の卵巣嚢腫のなかで最も頻度が高く、その半数以上を占めます。
大部分は20~30代に発生します。そのため、妊娠中に発見されることもよくあり、その場合は妊娠初期に手術を行います。また、嚢胞内部に皮脂、毛髪などを含んでいるため、腹部X線検査でこれらが写って発見されることもあります。
若い年代に発症したものは良性のことが多いのですが、高齢の場合は悪性に変化していることがあります。そのため、若い時にこの腫瘍が発見された場合は、手術による摘出か定期的な検査を受けることがすすめられます。
●境界悪性卵巣腫瘍(きょうかいあくせいらんそうしゅよう)
良性の腫瘍と悪性の卵巣がんのちょうど中間の性質をもっている境界悪性腫瘍は、通常は確実に摘出してしまえば生命に関わることはありませんが、ごくまれに再発することがあります。したがって、境界悪性腫瘍摘出後にも慎重な経過観察が必要とされます。悪性卵巣腫瘍がリンパ節転移を来すのに対して、境界悪性卵巣腫瘍がリンパ節転移を来すことはまれです。
●悪性卵巣腫瘍(あくせいらんそうしゅよう)(卵巣(らんそう)がん)
これに対して卵巣がんは、初期の場合なら完治率も改善傾向にありますが、進行した場合は依然再発率も低くなく、治療に苦慮することがあります。卵巣がんの特徴として、おなかに水がたまる腹水とそれによる腹膜播種(はしゅ)という転移形態をとることも、治療を困難にしている原因のひとつです。
現在でも卵巣がんの生命予後は、進行期にもよりますが、厳しいとされています。近年、日本でも、生活様式や食生活の欧米化に伴って卵巣がんが増加傾向を示しています。